【2026年コラム】
スピードと効率が重視される現代社会。短期間で成果を上げることが求められる一方で、地道な努力や成果が見えにくい変化は非効率として片づけられることもしばしば。確かに効率が良ければ、成果も早く目に見えて現れる。が、問題はそれがどこまで継続できるかだ。世の中そんなに甘くはない。どこかで躓くものだ。成功の本質はコツコツの努力と根気強い継続であることは歴史が証明している。
箸よく盤水を回す:たらいや盆の中の水を箸でかき回す。最初の一振り二振りでは、水面にかすかな波紋が広がる程度で、その試みは無意味なものに見える。だが、諦めず箸を動かし続けると、やがて水全体がひとつの方向を向いて動き出し、ついには中心に渦ができて、勢いよく回転し始める。一度この渦ができてしまえば、もはや箸の力は必要なくなる。水そのものがもつ慣性によって巨大なエネルギーとなり、回り続けるということを言っている。
継続は力なり、微力でも継続せよ。悪しき習慣を見直したり、組織の古い体質を変えようとする時、最初はじれったさを感じ、自分はこの程度かと箸を置きたくなる。そこを踏ん張って、物理的な水がそうであるように、もの事には動き出すまでタイムラグがあると信じて箸を回し続ける。誰かが必ず見ていてくれる。箸に近い水が動き、次第に連鎖して大きな渦になるように、努力をしている姿を見ている身近な人から輪が広がっていく。この輪は性急に成果を出した人たちが築くものとは違い、信用・信頼という強い輪となる。但し、箸で重要なのは、右に回したり、左に回したりと迷いながらだと渦はできないということ。ブレずに同じ方向で、信じた道を一貫する。一貫性こそ、小さな力を大きな渦へと変える鍵だ。
メディアやネットで取り上げられている名の知れた人でも、最初は試行錯誤を繰り返し、常識を疑い、そんなの無理だと周囲が笑っていても、休まず箸を動かしつづけた。水の抵抗を受けながらも、情熱や使命感を持って箸を休めなかった。箸を回せども回せども一向に動かないように見える大量の水に対しても諦めなかった。回り始めるのか回らないのかという不安を抱えながらも耐え忍び…さらにようやく回り始めたからといって気を緩めることなく、ギアアップして渦ができるまで継続した結果、功を成し名を上げることができたのだ。初心を忘れないよう頭を丸刈りにしている有名な起業家が「いつになったら髪を伸ばすのか」という問いに「資金が余ったら考える」と謙虚に答えたという。上には上がいる。
『 2026年 未だ室に入らざるなり上へ VOL261』 1月のコラム
2026年、令和8年が明けた。平成は徐々に遠く、101年目の昭和は随分遠くなった。去年は国の舵取りが変わり、我が郡山市も新顔の市長になった。果たして今年はどのような組織にどのようなリーダーが現れ、どのような手腕を発揮してくれるのだろうか。
人間に完成はない。未完のまま未完で終わる。完成はないなら、完成を目指すことになるのだが、すべての人が完成を目指す方向を向くわけではない。完成を目指す人でも方角が違ったりするし、そこに向かう足取りも違う。人間は面倒な生き物なのだ。どうしてもそれぞれの思惑や欲望が優先し、自分を真ん中に置いて考えてしまう。時間の経過とともに身体は成長し、そして衰える。身体は目に見えるが精神は見えない。精神はどれほど成長、どれほど衰えたのか見えない。身体とは違い精神の成長は衰えを先延ばしし、成長を続けることが訓練でできる。記憶の衰えは如何ともしがたいが、時勢に合わせ自己研鑽をすることだ。時勢は自分に合わせてはくれない。スマホで何でも検索できて便利と思っていたら、今時はAI なるもので更に何でも教えてもらえる。便利になることに反比例して個人の情報も晒される危険性も危惧されているが、この流れは止めることはできない。
論語の一説:未だ室に入らざるなり:ある程度の域には達しているが、まだ奥の部屋(室)、いわゆる人生の奥の領域には達していない。金があればなんでもかんでも、物でも情報でも簡単に手に入る世の中。欲望にはキリがなく、安易に快楽、楽しい、面白い方へどんどん流れ、嫌な物は嫌だと言えば通る世の中。そういう世の中に迎合する人がリーダー選ばれる世の中。自分のやっていることを棚に上げ、さらに自己を正当化するリーダーのイデオロギーやスローガンほど空虚なものはない。真面目にコツコツ働いて積み重ねていく生き方がバカらしく思える風潮が益々加速していくような今年。今年の干支は馬。馬のように逞しく、疾走することができればいいのだが、中身のない、騎手のいない暴れ馬になってはいけない。
相変わらず世界では紛争は続いている。何とかしてあげたいと心は痛むが、何ができるのか。奥の領域に達している世界のリーダーに期待を賭けるしかないのだろうが、悲しいかな肝心の世界のリーダーが奥の領域に達しているとも思えない。ならば自分が室に入れるよう精進せねばと偉そうに思いつつ、現実は色々とAI に尋ねている。あぁ益々視力が悪くなる。

